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2010年5月16日 (日)

詩のこころを読む

 茨木のり子さんの『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)を久しぶりに読み直しました。

 読み直しというか、単に初めてじゃないってだけで──おそらく前は高校生の時だっただろうから。その当時の愛読書だったのです。折りに触れて読んでいた記憶があるけど、多分自分では持っていなかったんじゃないかな。図書館にあったものを読んでいたんだと思います。初版が1979年ですから、出た直後に読んでいたんだなあ。
 どうしてこの歳になってもう一度読んだのか──。それはTwitterで『トイレの神様』という曲のことが話題になった時、
「この歌より、私はこっちの方が好きだなあ」
 と思って、濱口國雄さんの『便所掃除』をネットで探したのがきっかけ。いくつか見つかったけど、何だか微妙に違ったりしていて、
「これは、ちゃんとしたものを読まなければ!」
 と思ったのです。検索しているうちに、『詩のこころを読む』に入っていることがわかり、
「ああ、これで読んでたから、思い出したんだな」
 とわかった次第。
『トイレの神様』については、ちょっと検索すればすぐにわかる曲なのでここでは言及しませんが、テーマというか、モチーフは(ちょっと違うけど)『便所掃除』と同じものなのです。ただ、『便所掃除』はそのモチーフの美しさが、何ゆえに美しいのかということを思い知るような詩です。高校生のアホな私の心にもしっかりと根付くパワーを持った作品。
 まあ、この詩に「インパクトが薄い」と言う人はいないと思いますけどね(^^;)。

 この本はジュニア新書なのですが、若い人だけに読ませるのはもったいない名著であると、今回読み直して思いました。茨木さんが選んだ詩には、時代や年代に負けない言葉があふれているのです。
 高校生だった私が当時好きだった詩は、工藤直子さんの『ちびへび』や『てつがくのライオン』、黒田三郎さんの『僕はまるでちがって』、高橋睦郎さんの『鳩』などと憶えているのですが、今回印象に残ったのは石川逸子さんの『風』や河上肇さんの作品、そして石垣りんさんの『その夜』。
 河上さんのや『その夜』は「4 峠」という章に収められているものです。この本は、人の一生になぞらえた章立てをしてあるのですが、私はまさに今“峠”の時期。高校生の頃に好きだった詩が「2 恋唄」や「3 生きるじたばた」に収められているのを見ると、時がたつのは速いと思うのです。
 そして、今回読み直して、一番胸を打った言葉は『その夜』の冒頭。

 女ひとり
 働いて四十に近い声をきけば
 私を横に寝かせて起こさない
 重い病気が恋人のようだ。

 たとえひとりでなくとも、重い病気でなくとも、四十前後の女に何かを実感させるものがある、と思うのです。男もそうかもしれないけどね。

 もう少したって読み直すと、最後の「5 別れ」の詩にしみじみとするかもしれない。いや、最初に戻って「1 生まれて」の吉野弘さんの『I was born』や会田綱雄さんの『伝説』を読んで、死への不安を紛らすかもしれません。
 もっと言いたいことはたくさんあったけど、とてもとても言い切れないので、このへんでさようなら。

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