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2008年11月10日 (月)

私のツボ8『ロマンティック・ヘヴン』

 今回はスーザン・エリザベス・フィリップスの『ロマンティック・ヘヴン』(ライムブックス)です。

 久しぶりに顔が腫れるほど泣いた作品。ラブコメなのに〜。
 ただし、ロマンス小説なので、興味のない方はスルーで。ネタバレはありませんが、長文です。

 前に書いた『真夜中の男』もロマンス小説なのですが、あれはちょっと変化球でした。でも、これは直球。バリバリの正統派です。サスペンスやパラノーマル(超常現象)の要素もない、コンテンポラリー(現代もの)ロマンスです。
 作者のスーザン・エリザベス・フィリップスは、アメリカで今もっとも人気と実力のあるロマンス作家と言われているらしい。それはずーっと聞き及んでいたのですが、今まで手を出していませんでした。今回も実は、図書館で借りたものです。何しろ、ぶ厚いし、それ故に高いしさあ……。(けど、あとで買うからね!)
 最初に読んだのは、“シカゴスターズ”というアメリカンフットボールチームを舞台にしたシリーズの一作目『あなただけ見つめて』(二見文庫)。これを図書館で見つけたから、読み始めたのです。シリーズものは、やっぱり一作目から読まなきゃ。けど、前にも書いたように日本のロマンス小説の翻訳事情は、なぜかそうじゃないらしく、このシリーズもなぜか五作目から発売されたそうですよ。しかも二つの出版社にまたがってる!(あ、人のこと言えない(^^;))
 ま、まあ、それは置いておくとして、『あなただけ見つめて』も面白かったですよ。ヒロインの造形がバツグンだと思いました。それに比べると、ヒーローはちょっと単純でしたが。いや、よかったんだけど、私は元々ヒロインがいいとヒーローのことは二の次になってしまうので。霞んでしまうんだよねー。ストーリーも、奇をてらったところがないのに起伏に富んでいて、エピソードや脇役の描写もとても丁寧。フットボールなんか全然知らなくても大丈夫でした。いや、とにかくうまい人です。書き手から見てもそう思う。
 噂通りの面白さに満足して読み終わったあと、シリーズ第二作目の『ロマンティック・ヘヴン』を読み始めました。うう、ヒロイン、もっといい……。そしてヒーロー、もっと単純(^^;)。単純っていうか、お子ちゃま?
 ハーレクインロマンスなんかだと、割とこの手のお子ちゃまで傲慢でおバカさんでアホで(以下略)というヒーローは珍しくないのですが、こういう文庫のぶ厚いロマンスでここまでのお子ちゃまは初めてかもしれない。だからこそ、ヒロインに霞まない、非常に印象的なヒーローなのですが。
 で、簡単なあらすじです。

 冴えない容姿のグレイシーは、映画制作アシスタントとして、約束の期限になっても現れない元フットボールのスター選手、ボビー・トム・デントンを撮影現場へ連れていくことになる。生まれ故郷であるその町で、彼の初主演映画を撮るために。
 だが彼は自分勝手でわがまま言い放題。グレイシーを困らせるが、撮影が始まったら始まったで、自分のアシスタントをしろ、女避けのために婚約者のふりをしろなど、とにかく振り回す。

 どうですか、やな男でしょう(苦笑)。ヒロインに対する態度は、好きな子をいじめる小学生とほとんど変わりません。
 とはいえ、彼はとてもお人好しで、誰に対してもいやな顔をしない。金を無心されても、すぐにあげちゃう。でも、人に何かを頼むのは苦手。怪我によって選手生命が突然断たれたことをまだ受け入れられないのに、その苦悩を誰にも見せようとしない。それに惹かれたヒロインは、自分は彼に釣り合わない、彼は自分の愛に応えてくれないと思いながら、「彼から何も奪わない女になろう」と決心して尽くす。けなげだ〜、グレイシー(T_T)。
 私は、ロマンス小説に限らず、コンプレックスを抱えた人が現状に満足しようとしながらも、欲しいもの求めるものを真剣に見つめて、次第に本当の気持ちと自分自身の存在を認めていく、という話にものすごく弱いのです。泣けて泣けてしょうがない。古くは吉田としさんの『恵子』とかね。優秀で美しい(でも意地悪な)姉と比較されてひっそりと毎日を送っていた少女である恵子が、絵の才能を認められて自信を持つようになるとか、もう滂沱の涙ですよ。
 もちろんこの作品でも、何でもないシーンであってもうるうる──ティッシュが減る減る。まぶたはぶわぶわ、鼻が臭くなるほど泣きました。最初に言ったとおり、れっきとしたラブコメディなのにさあ〜。ヒロインの心情を思うと、切なくてねー……。
 これだけでもツボなのですが、本当のツボはここから。
 でもまあ、これ以上くわしく書いたらつまらないのでやめます。が、日頃ハーレクインとかでヒロイン(作者)があまりにも簡単に傲慢ヒーローを許しすぎるっ、と思う方、「このタコでマヌケで鈍感でハナクソで(以下略)のヒーローったら、反省の『は』の字もありゃしねえ」とお嘆きの方にこそ、ぜひおすすめしたいです。わたくし、だいぶスカッとしましたよ。

 ところで──吉田としさんのこと書いたら、読みたくなった〜。小学校から中学にかけて、彼女の作品をよく読みました。女の子の名前がタイトルになっている『ジュニアロマン選集』に夢中になったものです。コバルト文庫とかでも出てたんだよね。でも、話を憶えているのは『恵子』だけだなあ。
 思うに、女性の多くは、こういう話に弱いんだと思うのです。誰でもコンプレックスはあるものだし、自信を持ちたいと思ってる。ハッピーエンドのロマンスは、そういう欲求を一番わかりやすく満たしてくれる。日本の少女マンガもそうでしょ? 私が今一番気に入っている少女マンガ『君に届け』も、やっぱりこういう話なんだよね〜。ヒロインの爽子はちょっと風変わりですが、そこがかわいい。
 日本人作家による“ロマンス小説”というジャンルが確立しない原因は、少女マンガがあるからだと思うんだよねー。いい悪いってことじゃないですよ。日本はそういう方向に行ったってだけ。独自の文化だし、子供の頃から親しむもの──つまり“原点”になってしまう可能性が高いので、なかなか太刀打ちできるもんじゃないんだよね。
 まあ、ロマンスにしろ少女マンガにしろ、永遠のマンネリであることは確かなのですが、重要なのは“永遠”ってことで──百年後にもやっぱり女の子は、こういうものを読んでいると思いますよ。

 蛇足。
 映画撮影をするヒーローの生まれ故郷が“Heaven”というので、『ロマンティック・ヘヴン』というタイトルなんですが、原題は“Heaven,Texas”。直訳すれば、「テキサス州ヘヴン町」。日本で言えば、「東京都練馬区」みたいな。
 けど、町の名前は“Heaven”だからな。とすると──「北海道幸福町」? こんな感じ?
 ──地味だけど、いいタイトルに思えてきたぞ(^^;)。人情ものみたいだけど。
 それにしても、ヒーロー主演の映画は、超つまんなそうだ……。

★紹介した本。吉田としさんのは全然ないや……。
 

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コメント

お久しぶりです~。
私も小学生の頃、吉田としさんの名前シリーズ(と勝手に呼んでいたけれど、ジュニア浪漫選集というのですね(^^;)ゞ)大好きで読んでましたー。
敦子、真奈、郁子…。他にも沢山出ていましたよね。
久しぶりに、また読みたいです。

投稿: がじ | 2008年11月10日 (月) 22時05分

 こんにちは、がじさん。
 吉田としさん、なつかしいですよね。暖かくて優しい話が多くて。
「ジュニアロマン選集」の中でもう一つ憶えているものがありました。『サルピナ』という砂漠の国を舞台にした物語です。ま、ストーリーはすっかり忘れていますが(^^;)、日本人の女の子ばかりの中のサルピナの名前は、だいぶ印象的でした。
 本屋さんではもう手に入らないようなので、図書館頼りかなあ。けど子供の本だから、傷みが激しいだろうし……今度見つけてみます。

投稿: 矢崎存美 | 2008年11月11日 (火) 08時32分

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