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2008年2月23日 (土)

私のツボ4『真夜中の男』

 今回はリサ・マリー・ライスの『真夜中の男』(扶桑社文庫)です。

真夜中の男

 ポーラ・ゴズリングの『逃げるアヒル』を読み直してからこっち、彼女の本を追いかけるとともに、いわゆるロマンティック・サスペンスというジャンルにも手を出し始めました。
 けど、はっきり言ってロマンスもサスペンスも、と欲張って読んでも、『逃げるアヒル』ほど満足はしないんです。この作品はある意味、私の理想型。話に多少穴があるけれども、サスペンスとロマンスのバランスが抜群にいい。サスペンス部分は血生臭く不気味で、ロマンス部分はとても甘い。あくまでもサスペンス小説なので、ロマンス部分はちょっとしかありませんが、その隠し味に妄想をかきたてられます。主人公カップルは二人とも魅力的で、ストーリーも展開もシンプル。多分、これ以上に満足できるものはないだろう、と思っています。ゴズリングの他の作品と比べても。完成度からすると、多分『殺意のバックラッシュ』が一番いいとは思うんだけど(これはミステリーですが)。
 結局、両方満足できるものを求めるからダメなんだよね。どうせこれ以上のツボはないんだし、両方にがっかりするなら、どちらか一方に絞ればいいんじゃん! ──と思って、ついうっかりロマンスに絞ってしまった私……orz もうサスペンスとかミステリーの部分なんて、おまけでいいや! って、なんか違う気がしますが……。まあ、ハーレクインロマンスにはまっていた過去もあることですし……。
 けど、そう思っていたら、こんなものにぶちあたりました。
 ロマンス小説の感想サイトなどでは、とても評判のいい作品です。もちろん「ロマンス小説」として。みんな言ってる、「サスペンスはおまけ!」って。おまけというか、別にいいやっていうか──とにかく、ヒーローの存在感で全部ぶっ飛んでしまってるんだよね。
 簡単に言えば、一目会った瞬間に惹かれあった男女の数日のお話。かなりエロいですよ。特にヒーロー、会った瞬間からメロメロで、そういうことばっか考え続けますから。苦手な人は避けた方がいいです。ハーレクイン的なお上品な表現ではないしね。男性向けではないですけど。
 とにかくこのヒーローの猪突猛進ぶりが、ものっすごいのですよ。「ギャグかよ」と思うくらい。たとえば、「優しくしなくちゃ」と己の欲望を抑え込むあまり、レンガの壁を素手で壊す、とか、頭の中では「あーんなことやこーんなこと」と順序立てて考えてるのに、いざとなると全部すっ飛ばしちゃう、とか──その他いろいろ。なんだよこの人。
 しかも、元軍人──SEALというエリートで、超マッチョな男前なのです。さらに会社経営しててお金持ちでもある。ヒロインは美人ですがまったくの一般人で、そんなのに目ぇつけられて逃げられるわきゃないだろって感じです。好きだけど及び腰、というのも無理ない。
 ロマンス小説ってウェルメイドなファンタジーだと思うんですけど、ここまでのヒーローというのはあんまりいないと思います。願望を通り越して、怪物になってるよ。そこまでじゃなくてもいいのに、と突っ込みたくなります。
 そんなことを言いながら、図書館で何となく借りたこの本、私はシリーズ3作全部買ってしまいました──orz その中で実は一番好きなのは、3作目の『真夜中の天使』なのです。これは、凶悪な顔に繊細な心の持ち主であるヒーロー(これも元軍人。この人がいい!)と盲目の歌姫、という組み合わせでまさにファンタジー──美女と野獣そのものです。他の同様エロいのに、何だかとってもほのぼのしていました。2作目『真夜中の誘惑』はフツーのロマンス小説って感じだった。3作目を読むのなら読んだ方がいいと思うけど──まあ、見ないとつじつまが合わない『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』みたいなものですね(何この投げやりな感想……)。
 じゃあ、なぜ好きな『真夜中の天使』ではなく、『真夜中の男』がツボなのか、というと──珍品、ということで(^^;)。なぜか思い出すのです。ウィリアム・カッツの超珍品『殺人者は眠らない』を(あああ、どっか行ってしまったぁ)。あの自分の犯罪現場を見た(かもしれない)向かいの女(主人公)を殺そうとジタバタする殺人犯を。不眠症の天然女に振り回されて、どんどんマヌケになっていく殺人犯を「がんばれ」と励ましてしまう、という珍現象を。
「ちょっと待て」と言う私を置いて、登場人物が暴走していくのに唖然とする、というのは、本読みとしてある種の快感なわけです。面白い面白くないを超えたものがそこにあります(あるか?)。サスペンス部分がおざなり(これはシリーズ全部そうなんですけど(^^;))であっても、「そういうとこ読むもんじゃないし」とあっさりかわせるっていうかね。
 完成度よりキャラのインパクトってことでしょうが、このくらいやってくれたら許せるなあ、と思える作品でしたよ。ロマンス小説に抵抗ない人限定でおすすめします。けどほんと、サスペンスはおまけっすよ。
 シリーズあと2作はこちら↓

真夜中の誘惑

真夜中の天使

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コメント

  ちっす!太郎良でっす(゚Д゚)ノ


 あたしは、ロマンスならロマンス、サスペンスならサスペンスってわけてあったほうがいいっすね~。なんでかって~と、元々少女漫画が大好きなもので、少しでもロマンスが入るとそっちに頭がいっちゃって、トリックとかそんなのそっちのけでロマンスの行方の方が、気になっちゃって×2・・・・。だめだな~あたし(;´Д`)ハァハァ


 それではまたカキコします(゚∀゚)ノシシ

投稿: 太郎良 有香 | 2008年2月23日 (土) 13時20分

 こんにちは、太郎良有香さん。
 現実としてはなかなかないんですけど、できたら「ひと粒で二度おいしい」アーモンドグリコみたいなものがあったらいいなあ、とつい思ってしまうんですよねえ。

投稿: 矢崎存美 | 2008年2月25日 (月) 09時00分

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